top of page
【めてうす】とは誰か? 

プロメテウス・エピメテウス

 ベルナール・スティグレール(Bernard Stiegler,1952 - )が、プロメテウスがなぜ、神のみが所有する火(と技術)を盗んで人間に与えることになったのかを映像*の中で簡単に説明している。プラトンの対話篇『プロタゴラス』の中で、プロタゴラスがソクラテスらに語ったプロメテウスとエピメテウスの物語を、スティグレールは表情豊かに語り継いでいる。兄弟の性格の描写が楽しい。

 

'Prometheus forgets nothing, Epimetheus forgets everything.'

YouTube: man & technics:Bernard Stiegler(1)

*The Ister: 初公開2004年9月 ドキュメンタリー(イギリス)

2020年度 哲学の会【めてうす】会長あいさつ
 

 

 

 放送大学に所属する学生およびOBを会員とする学生団体 哲学の会【めてうす】、が平成27年3月に東京文京学習センターに設立されて以来、早くも5年を経過しましたが、今年3月には世界的な新型コロナウィルスの蔓延により、例会の開催もできない状態を経験しています。当会設立以来、顧問としてご指導頂いている河上正秀先生(筑波大学名誉教授、元放送大学客員教授)はじめ、講師招聘講座の先生方をお招きしての勉強会さらに会員同志による研究・思索の発表と映画・美術鑑賞や史跡の散策と親睦の場を重ねて来ましたが、今回のサークル活動自粛では会員が愉しみにしていた教室での発表や討論、その後の懇親会での語らいもできず、サークル活動の再開が待ち遠しい日々 (東京文京学習センター所属) が続いた事と思います。幸い隔月発行の会報【めてうす】は休むことなく、思索発表の記録を更新し、さらに俳句投稿も充実するなど会員および一般公開の読者へのプレゼントとして思索と誌面での対話の機会を確保できたものと思います。

 

 今回のコロナウィルスでは、いかに現代の世界での人の移動が活発で、その活動が世界規模で影響を与えるものであるかを思い知らされました。また目に見えない病原菌が日常生活を脅かしているものであるか、日々進歩している科学でも解明できず、あふれた不確かな情報に惑わされて不安に襲われ、予防や対策の失敗によって大きな災害にもつながるかを痛感させられました。日常生活が多くの人によって支えられ、一旦事が起きると大きな衝撃や被害に見舞われることも実証されました。

 哲学は過去数千年に亘る先賢・先哲の思索の積み重ねであり、知恵への愛を求めてきた歴史ですが、まだまだ新たな未知の世界に対して賢く対処する術を体得したものとはいえません。哲学の会【めてうす】は今後もさらに新たな視点と感覚を求めて活動の範囲を拡げ、対話と交流と学びの場を拡げていく事が求められています。

 昨年は初めて活動拠点の東京文京学習センターで学園祭「茗荷祭」にも参加し、同胞や地域の訪問者にも哲学の会【めてうす】の活動状況を知って頂き、哲学への関心を呼び起こすことができたものと思います。

 今年も厳しい環境や不確実な世情にあって、ますます自己を見つめ、世界を見る目を研ぎ澄まして対話の輪を拡げていきましょう。

哲学の会【めてうす】会長 和田 裕

(東京文京学習センター所属)

Who is ‘μηθεύς’ ?

 【めてうす】の名称  

 

 会の名称【めてうす】とは、ギリシア神話の「プロメテウス」「エピメテウス」の接頭語を外した「メテウス」をひらがなで表記したものである。メテウスという単語そのもののギリシア語での使用例はないが、「プロメテウス・エピメテウス」としての「メテウス」は、「メティス」という女神(ゼウスの妻)から由来する「思慮」「知恵」という意味と親和性を持つ。ちなみに女神メティスの娘は、知(と戦い)の女神ミネルバ(アテナ)で哲学(フクロウ)はその使者である。

 思慮と知恵というメティスを持ったものとしてメテウスは意味づけられ、それがギリシア神話の「プロメテウス・エピメテウス」の主要なテーマとなっている。「プロメテウス」とは、行為の前の思索で、賢さ、先見の明プロメティアである。「エピメテウス」とは、行為の後の反省で、愚かさエピメティアである。人間とはこの賢さと愚かさの二面性を持ったメテウスと言える。したがって、いまこの「メテウス」を【めてうす】として我々の会の名称とすることは、「思索」あるいは「思索する」という哲学の最も基本的な姿勢を示す意味で使用することである。(山本芳正)

 哲学の会【めてうす】は、2015年3月に、放送大学の学生及び卒業生有志により立ち上げられ、2015年4月より放送大学東京文京学習センター所属のサークルとなりました。現在会員は、25名ほどです。【めてうす】Web(当ウェブサイト)は放送大学学生団体 哲学の会【めてうす】(以下,哲学の会【めてうす】)が運営するホームページです。

 賢さと愚かさを持つ思索するものどもと意味付けられた「めてうす」は、河上顧問の助言で命名された会の名称で、「プロメテウス・賢さ」、「エピメテウス・ 愚かさ」のそれぞれの接頭語を外した「メテウス」の ひらがな表記です。 

め  て  う  す

bottom of page